第35回日本口腔内科学会
大会長 杉浦 剛
(東北大学大学院歯学研究科 顎顔面口腔腫瘍外科学分野 教授)
この度、第35回日本口腔内科学会学術大会を第38回日本口腔診断学会との合同開催として仙台で開催させていただくことになりました。実はわたくしは九州大学在任中の2014年に第24回大会の準備委員長を務めました。10年余の年月を超え、大会長として宮城県仙台市に皆さまをお迎えすることができることは、大変光栄であり、かつ身の引き締まる思いです。会員の皆様の記憶に残る有意義な、かつ一味違う学術大会としたいとスタッフ一同準備をすすめております。
さて、この度の学術大会のテーマは「精密診断と病態解析で拓く口腔医療の未来-Precision Diagno-Analysis in Oral medicine-」といたしました。Precision Medicine(精密診断)という言葉は2015年にオバマ大統領が個別医療の具体的な方策として遺伝子、環境、ライフスタイルに関する個人ごとの違いを考慮した医療を提唱したものです。これが医療DXと呼ばれる現在の医療改革の波の礎になっているものと思います。さて、口腔領域における精密医療は、医療DXや医療AIといった形態のデジタル化と捉えられがちで、治療手段偏重の傾向があります。しかし、精密医療の本質は精密診断、すなわち診断のデジタル化とマルチモーダル診断であることを忘れてはなりません。客観的にデジタル化された多元的な指標を用いた診断が求められ、例えば遺伝子診断がこれに該当します。Oral Medicineの領域における精密医療・精密診断の現況はどうでしょうか。10年前の診断方法から革新的な変化があったでしょうか。そして口腔粘膜疾患を代表とする疾患の病態解析は進んだでしょうか?残念ながら10年前と現在、ほとんど変わっていないのではないでしょうか。大切なことは精密診断を推進することによって、病態の正しい理解に近づくことができるということです。本学術大会のテーマの趣旨を是非ご理解いただき、学会を有意義にお楽しみいただければと存じます。
杜の都、仙台・宮城県は観光すべき場所が数多くあり、おいしいものも数多く揃っております。皆さまをお迎えする9月6・7日頃は暑さのピークもすぎ、杜の都を楽しむのに良い時期となります。是非、学会と共に、東北の初秋を楽しんでいただきたいと思います。
仙台の地で皆さまをお待ちしております。多数の参加をお願い申し上げます。
© 2024 第35回日本口腔内科学会・第38回日本口腔診断学会