大会長挨拶
大会テーマ:“Save More Lives” より多くの命を助けるために
このたび、第23回を迎える宮城県救急医療研究会・学術集会を諸先輩のご指導の下に開催させていただくことになりました。新型コロナウィルス(COVID-19)BA.5の猛威が治まらず、また新たな株の流行が懸念される中ではありますが、社会活動に関しては徐々にコロナ禍前の状況に戻っていることを踏まえ、感染対策を施しながら、オンラインではなく現地での開催とさせていただきます。
COVID-19は、救急医療やクリティカルケア領域に関わる私達にとって、これまで経験したことのない様々な課題・難問をつきつけてきました。私達は最前線に立ち、これまでの救命救急・災害医療で培った技能やネットワークをフル活用し、お互い協力しながらこれらの障壁に立ち向かい、できるだけ多くの重症者の命を救い、また防ぎえる死を回避するべく尽力してきたと思います。COVID-19デルタ株による重症ARDSをECMO可能な施設に集約できたことはその一例だと言えます。
まだコロナ禍ではありますが、一般の重症者も当然のように日々発生しており、COVID or Non-COVIDによらず、重症患者を適切な施設に搬送し、適切な初療・蘇生を行い、より多くの命を助けることが求められます。またそのためには、救急医療に関わる人々が学び、育ち、指導者になっていく、というサイクルが必要です。
本学術集会では、パネルディスカッションで「宮城県における重症患者集約化の現状と課題」をテーマとして議論します。重症の救急傷病は地域の3次救急医療機関を最後の砦として搬送されますが、その中でもECMOを要する心停止や心原性ショック、多発外傷、急性虚血性脳卒中、急性大動脈症候群などは更なる集約化が患者転帰改善に寄与する可能性があります。これら各々の傷病の医療調整・患者情報共有手段・安全な患者搬送方法等について宮城県内の現状を共有し、解決すべき課題は何かを皆さんと共有したいと考えています。
シンポジウムのテーマは「宮城の救急医療を育てる」としました。地域の救急医療システムの質を向上させるためには、救急医療を支える仲間を増やし、育てていく必要があります。本シンポジウムでは、救急科専攻医、認定看護師、診療看護師、救急救命士といったこれからの救急医療を支える職業人の教育・育成や、多様な働き方を支える取り組み等について皆さんと共有したいと考えています。
ここ2年は、多くの学会がオンライン開催でしたが、今回は久しぶりの現地開催です。仲間と直接顔を会わせて話し、お互いの日々の努力をねぎらい、敬意を表し、新たな活力を得る機会となれば幸いです。
第23回 宮城県救急医療研究会・学術集会会長
東北医科薬科大学病院 遠藤 智之