ご挨拶
第34回日本リウマチ学会北海道東北支部学術集会
会長 髙窪 祐弥
山形大学医学部リハビリテーション部
病院教授
このたび、第34回日本リウマチ学会北海道東北支部学術集会を2024年10月19日(土曜日)、20日(日曜日)に山形県天童市の天童ホテルで開催させていただきます。当科の高木理彰教授が2024年4月18-20日に第68回日本リウマチ学会総会・学術集会を開催させていただいたことから、若輩ではございますが、小生が本支部学術集会の会長を務めさせていただくことになりました。大変光栄に存じます。
今回の支部学術集会では、「Ei kysyvä tieltä eksy ~出羽の国 天道の地でリウマチ学に浸る~」というテーマを掲げさせて頂きました。” Ei kysyvä tieltä eksy (エイ キシヴァ ティエルタァ エクシー, No one who asks gets lost, Don't be afraid to ask for advice!)” はフィンランドのことわざで、”誰かに質問することは恥ずかしいことではなくむしろ大事なこと”を意味しています。海外に行きますと日本人は奥ゆかしく、ともすれば引っ込み思案な人種と思われがちですが、疑問に思ったことは質問し議論を重ねることにより、お互いに理解が深まるものと思われます。
天童は、一説によると天道(日の当たる道)に神が童を遣わし天童と呼ばれるようになったとされます。この出羽の国天道の地でリウマチ学にとことん浸って頂き、リウマチ学に関わる薬物療法から手術療法、リハビリテーション治療、さらに最新治療を支える基礎医学、社会医学にも視野を広げ様々な議論を通して、本支部学術集会が北海道東北地区のリウマチ学のさらなる発展につながればと願っています。
関節リウマチを代表とするリウマチ性疾患の薬物療法は急速な進歩によりパラダイムシフトがおきたとされますが、関節リウマチ患者においてもいまだ1-2割前後の患者さんは薬剤抵抗性で関節破壊の進行がみられます。さらに、リウマチ性患者は健常人と比較し活動量が少なくロコモティブシンドロームの状態になりやすいとされ、超高齢社会の到来で高齢発症リウマチ性患者の増加や若年発症リウマチ性患者の高齢化が顕在化し、併存症とともに、骨粗鬆症、変形性関節症の合併、サルコペニアやフレイル、抑うつ症状の合併も問題となっています。そのため、超高齢社会のリーディングエリアである北海道東北地区のリウマチ治療は、日本のリウマチ治療、ひいては世界のリウマチ治療の最先端を示すものと思われます。幅広く、未来を担う若手から、中堅、ベテランの先生方まで、それぞれ興味をもって参加して頂けるよう2つの特別講演、2つの教育講演、4つのスポンサードシンポジウム、3つのランチョンセミナー、3つのイブニングセミナー、2つのモーニングセミナーと若手研修医医学生セッションなどを盛り込みながら、プログラムを企画いたしました。2つの特別講演では、高木理彰先生の知己でスタンフォード大学のYunzhi Peter Yang教授とアデレード大学のGerald J. Atkins教授を海外招待講演としてお招きしました。教育講演では、日本リウマチ学会理事長の田中良哉先生にステロイド性骨粗鬆症を、瀬々潤先生と川尻真也先生にAIやアバターなど最新テクノロジーの医療を、ランチョンセミナーでは、神田真聡先生に北海道東北地区の未来のリウマチ診療の姿をお示しいただく予定です。その他にも、リウマチ足手術、D2TRAと血管炎におけるIL6の役割、超高齢社会におけるRA、リウマチとスポーツのシンポジウムも企画いたしました。
また、全員懇親会では学会員の先生方の親睦を深めていただくため、第68回日本リウマチ学会総会でも好評をいただいたモルック競技の中から、モルックアウト大会を予定しております。始棒式は、日本リウマチ学会北海道東北支部支部長の渥美達也先生と当科高木理彰先生、山形舞子さんにお引き受けいただきました。
会場となる天童市は山形市の北隣で、山形駅から天童駅までは新幹線で9分、おいしい山形空港から会場の天童ホテルまで車で15分程、天童駅からは車で5分程となっています。天童市は将棋の駒の生産量が日本一で、先日8冠を達成され、永世王位になられた藤井聡太名人が、2022年に人間将棋を指揮されてみごと勝利をおさめられた地(当時は5冠)でもあります。天童温泉街には、板蕎麦、鳥中華(山形市ラーメン消費量全国一)で有名なお店をはじめ、さまざまな果物(6月はさくらんぼですが、10月はぶどう、ラ・フランスが旬です)や県外では手に入らない日本酒、ワインもございます。綿秋の天童(道)の地で”リウマチ学”と”温泉”と”おいしい山形”にとことん浸っていただき、活発な議論ができるよう尽力致します。
多くの先生方のご参加をお待ち申し上げます。
2024年9月吉日
第34回日本リウマチ学会北海道東北支部学術集会
会長 高窪祐弥
(山形大学医学部リハビリテーション部 病院教授)