今回の地方会では、東北外科集談会と胸部外科学会、血管外科学会、小児外科学会の各地方会の共催で特別企画「東北地方の外科医不足を考える」を開催します。久しく東北の外科医不足は悩みの種でしたが、昨今のコロナパンデミックと相まって、想像以上のペースで危険水域に達してきたことは会員諸兄姉も肌で感じられていることと思います。
外科医不足と新人リクルート問題は、最近の外科系全国学会でよく取り上げられるテーマであり、働き方改革をはじめとした労働環境整備の重要性は論を俟たないでしょう。一方、地域性を考慮しないディスカッションは机上の空論として、リアリティーを欠くものになりがちです。今回の企画では、東北地方が抱える特有の問題を、様々な立場で外科医療に関わっている先生方の声を聞き、今まさにわれわれが対峙している問題を浮き彫りにし、今後の指針を再認識することを目標とします。
東北地方で外科医を目指す若者を増やすには、地域枠の拡大、インセンティブ支給などの経済的支援、待遇と労働環境の改善、など様々な方策がありますが、何より大切なのはわれわれ外科医が、明るく楽しく働いている姿を見てもらうことにほかなりません。現役外科医には研修医や医学生の将来像を投影できる存在としての自己研鑽が求められています。
東北大学心臓血管外科の齋木佳克先生と当教室呼吸器外科の塩野知志先生に司会進行をお願いしています。外科医不足が最も深刻な東北の地から、外科医療再興の狼煙として「山形宣言」を提案できたらと思います。
山形大学医学部外科学第二講座
(心臓血管・呼吸器・小児外科学分野)
内田徹郎