第41回日本内分泌学会内分泌代謝学サマーセミナー

会長挨拶

会長

第41回日本内分泌学会内分泌代謝学サマーセミナー
会長 高橋 和広
東北大学大学院医学系研究科 教授




日本内分泌学会 第41回内分泌代謝学サマーセミナーの会長を務めます高橋和広です。内分泌代謝学サマーセミナーは、東北地方においてこれまで第29回(2011年)を笹野公伸教授(病理学)、第36回(2018年)を井樋慶一教授(情報科学研究科)が開催されてきました。今回、東北地方では3回目の開催となりますが、内分泌関連の催しの初めての地として宮城県松島町を選びました。松島の海に魅せられて一人でも多くの方が現地参加されることを期待しております。仙台駅からJR仙石線にて40分足らずで「松島海岸駅」に着きます。なお、2023年もCOVID-19の流行が継続する可能性を考えて、WEB配信を併用する予定です。
メインテーマは、「The Diffuse Endocrine Systemの新時代」といたしました。英国の病理学者Prof. A.G.E. Pearse (1916-2003) は、「神経外胚葉由来細胞が、膵・消化管を始め全身に分布して、様々な生理活性ペプチドを産生・分泌している」という概念に基づき、1960年代にAPUD (Amine Precursor Uptake and Decarboxylation)系、The Diffuse Endocrine System そしてThe Diffuse Neuroendocrine Systemを提唱しました。Pearseは、ロンドンのハマースミス病院・Royal Postgraduate Medical School(現Imperial College London、ハマースミス キャンパス)にてJulia Polak (1939-2014) や小生の恩師でもあるStephen R. Bloom (1942- )を共同研究者として、生理活性ペプチドの先駆的な研究を残しました。
ここ40年間は、心筋細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞や筋細胞等、種々の細胞から新規生理活性ペプチドが発見されてきました。現在のThe Diffuse Endocrine Systemの存在を考えますと、内分泌学は古典的内分泌細胞を超えて広く生命科学の進歩に貢献するとともに、臨床医学の種々分野への応用可能な研究分野と考えられます。第41回内分泌代謝学サマーセミナーが若い研究者への刺激になることを期待しております。