ご挨拶
第39回The Mt. Fuji Workshop on CVD
代表幹事 藤村 幹
北海道大学医学部
脳神経外科学教室 教授
第39回The Mt. Fuji Workshop on CVDを、2021年8月28日(土)仙台市の江陽グランドホテルで開催させていただきます。1982年より続く伝統ある本会の運営に携わる機会をいただき、大変光栄に存じます。
本会は初回以来、1開催1テーマに絞った脳血管障害の「専門店」として、他の学会とは異なる独自の存在感を堅持して参りました。本会では主題を「もやもや病と頭蓋内動脈狭窄:治療最適化への道程」とし、脳卒中医療の中でも最近特に注目されている難治性疾患もやもや病と頭蓋内動脈狭窄を取り上げ集中的な討議を行いたいと考えました。
もやもや病が我が国で発見され、その疾患概念が確立されてから約60年が経過しました。従来は希少疾患と考えられてきましたが、画像診断の進歩によりにより本疾患の患者数は増加傾向をたどり、脳卒中医療の中に占めるもやもや病の重要性は高まっているのが現状です。またJAM trialに代表される本邦発の臨床研究により頭蓋外内バイパス術の有効性に関するエビデンスが発信され、もやもや病に対するバイパス術の適応は飛躍的に拡大傾向にあります。さらに2015年の診断基準改訂により、片側症例ならびに従来は類もやもや病に分類されてきた動脈硬化合併症例の多くが、脳血管撮影を行った上でもやもや病と確定診断可能となりました。このような背景の中で、最近では高感度MRIによるvessel wall imagingなどの最新の診断法によるもやもや病と動脈硬化性頭蓋内狭窄との鑑別が大きな課題として取り上げられております。一昨年は鈴木祥生会長が頭蓋内動脈狭窄症の診断・治療を主題として第38回The Mt. Fuji Workshop on CVDを開催されましたが、本会においても、もやもや病に加えて薬物療法や血管内治療の適応となる動脈硬化性頭蓋内狭窄もテーマに取り入れることで、もやもや病ならびに動脈硬化性頭蓋内狭窄を含めて東アジアに多いと言われる頭蓋内狭窄全般に対する治療最適化についての議論を皆様と深めたいと考えております。
今回は新型コロナウイルスの広がりを考慮し開催を1年間延期した上で、開催形式も現地・web併催とさせていただきました。この間も、もやもや病を含めた頭蓋内動脈狭窄に関する新たな知見が報告されており、学術的にもさらに成熟した内容の会を皆様とともに創りたいと考えております。より多くの方々に参加いただくことを念頭に、テーマはもやもや病に限定せずに閉塞性脳血管障害、頭頚部血行再建術、血管内治療など広く一般演題を募集いたします。多くの先生方のご参会と活発なご討議をどうぞよろしくお願い申し上げます。